夢。

 

どこかの小さなライブハウス。

なぜか出演者の私は、ステージに立ってモジュラーシンセのつまみに手を伸ばそうとしている。

フロアの後ろの方で騒いでいる数人の男女。

間。

「静かになるまで6分かかりました」と言い、フェーダーをゆっくりと上げていく。

 

夢。

 

どこかの田舎町をひとりで歩いている。

道路が花壇になっていて、様々な種類の花で埋め尽くされており、車が通るときは縁石と縁石を渡すように大きな板をかぶせることになっている。
人が通るときには板をかぶせる必要はなく、花を踏まぬよう気をつければよいらしい。
道路のいたるところにあるスピーカーからは、30分ほどの尺のおばさんふたりの会話が繰り返し流れており、もう3周ほど聞いた気がする。
「もう一度やり直せたとしても、私たちはきっと同じことを選ぶわね」

 

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先月実家に帰ったとき、ふいに土を掘りたくなった。

日が変わる頃、家族を起こさぬように外へ出る。僕の実家のある街は、ニュータウンのくせして街灯が少なく真っ暗なので、iPhoneのライトをつけて地面に置き、スーパーの袋をかぶせて光を丸く拡げた。

気持ちはいたって冷静で、素手でガリガリと掘っていく。前日の雨でやわらかくなった土と、ときたま現れる小石の、感触の違いがよくわかる。たぶん10cmくらい、思っていたよりも早い段階で満足が訪れて、無意識に手のひらをはたいた。その音が結構響いて気持ちが良い。

爪の間に詰まった茶色と、穴の隣にできた山をみて、嬉しい気持ちになった。

 「穴を掘ると隣に山ができる」という現象が、最近とても気になっている。
なぜ突然掘りたくなったのかはわからない。だけど、わからないことをわからないままに出来るとき、あぁ自分は今落ち着いているな、と思う。

家に入ると、玄関の絨毯の上で愛犬が待っていた。私はそのままの手で、同じ色の身体をわしゃわしゃと撫でた。

 

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今一番嗅ぎたい匂いは、新品のテニスボールの缶を開けたときの匂い。

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いつだったか、吉祥寺で朝まで飲んで、気持ちいい酔いのまま、タクシーが捕まるまで走ろうと思って、いつの間にか家に着いていた。

朝のマジックアワーがとても綺麗だったのを、とてもよく覚えている。

タクシーが見つからなくて本当によかった。

 

家の近くに、梅の木がたくさん植わった土地がある。

すこしの間通らなかっただけで、新緑の葉をたくさんつけていた。

晴れの日にこの木のしたをひとが走り、髪と服と肌に木漏れ日がおちるところを想像した。

 

生活のなかで、蛍光ペンでアンダーラインを引きたくなるような風景が目の前に現れると、うなじのあたりがきゅっとしまるような気持ちがする。
この感覚をずっと覚えていたいと思う。

そして、それらを忘れることがないように、写真にするのだと思う。

 

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スパゲティミートソース。ひき肉が安かったから。 美味しかったが、すこし水っぽくなってしまった。小麦粉をもう少し入れたらよかった。100円ショップで買ったレンジでパスタが茹でられるキット、◎

 


そぼろ丼。安かったひき肉が余ったから。そぼろの山のてっぺんを少しへこませて、卵をそっとのせる。たぶん私は、卵を買った帰り道が一番優しい。

 

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