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夢。
ここはニュータウンの裏山、高校まで通っていたテニスクラブ。
当時のクラブメイトたちが、サーブの練習をしている。
程なくして、コートの中に猫がたくさん集まってくる。
私はそれを空から眺めている。
その様子をSNSにアップしようと、ポケットからスマートフォンを取り出し、動画を撮ろうとするのだが、光の調整や画角が上手くいかず、一向に撮影することができない。
私の存在に気づいた猫たちが、一斉に私の元へ飛びついてくる。
確か6匹、シャムだとかスコだとかいろいろ。
それぞれが違う言語、私の知らない言語で語りかけてくる。
なんとなく、言わんとしていることがわかる。
どうやら私以外のみんなには、猫たちが見えていないらしい。
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誕生日がきて、24歳になった。
前夜、友人3人と井の頭公園で花火をした。ドンキホーテには、この季節でもちゃんと花火が売っている。
一緒に購入したチャッカマンが一瞬で壊れたり、花火を口にくわえて走り回ったりした。
目の前で拡散する赤だとか緑のひかりはとても綺麗だったが、煙でむせ返ってしまった。
とにかく楽しかったのを覚えている。
こういう時間がずっと続いて欲しいとは正直あまり思わない。
続くと不安になってしまうから。
けれど、たまにあって欲しいなと思う。
誕生日当日は特に予定を立てていなかった。
悩んだ末に、池袋のホテルを勢いで予約。直後に虚無になる。
会いたい人たちに会いに行って、ずいぶんと酔っ払い池袋に着いた。
慣れない街を歩くのは居心地が悪く、32階からみえる夜の街はあまり感動的なものではなかった。
ここよりも断然素晴らしい景色がみえる場所を、私はいくつも知っている。
24歳になったけれど、実感もなければ特に焦りもない。
いつだって、時間のとおりに物事は進んでいくのだから。
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いわきに帰省した。写真についてのあれこれを進めるために。
高1の頃付き合ってたひとと7年ぶりに再会。
次の予定まで、お茶をすることになった。
相変わらず良い目と声を持ち、真面目でさっぱりとしていて、とにかくよく笑う。
いろんな要素が当時のままで、とても安心した。
薬剤師になりたての彼女は、ラキソベロンという下剤の、名前の由来を教えてくれた。
想像のとおりなので書かないでおくけれど、やっぱりどんな仕事にも楽しみはあるのだなぁとぼんやり思った。
彼女は私のいろんな言動をみて、終始不思議そうに笑っていた。
変なひとだと思われているのだろうか。
なにも変わらない、ふつうの人間なのに。
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木村家はいま、大きな壁を乗り越えようとしている。
そんな状況でも、トイプードルのウェンディさんはちゃんとかわいい。
ごはんやおやつのとき、「浅田〜真央〜」と言うとくるりとまわってくれる。
この芸は母親が仕込んだのだが、どういう気持ちでウェンディはまわっているのだろうか。
母親のメニエールと突発性難聴の症状は、日によってまちまちらしい。
この日は良くない日で寝込んでいた。
そんな状況にもかかわらず、私が帰ると煮物を作ってくれた。
母親の料理はほんとうにおいしい。
どうがんばっても、この味にたどり着くことができない。
症状が強く出ているときは、硬い音が脳に響いて苦痛なのだそうだ。
父親は優しさがから周りして、聴こえるようにと大きな声ではっきりと母親に話しかけていた。
私は声色に気をつけてとこっそり父親に注意をする。
やさしくまるい声で話せば、大きくなくてもちゃんと聴こえるんだよ。
父親は私に、「かなわないなぁ」と言った。
そうそう、その声だよ、と思った。
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朝
甘酒 実家で分けてもらった大吟醸の酒粕に、いっぱいの砂糖とすこしのお塩 大さじで砂糖をすくうたびに、なんだか惨めな気持ちになった けれど飲む点滴は素晴らしい おちつく
昼
卵かけごはん 塩昆布をのせて、ごま油をすこし垂らすのが最近のブーム
夜
角煮 ネットで見つけた炊飯器で作るやつを試した 確かに楽だけど、普通に煮込むのと同じくらいの時間がかかるし、炊飯器が油まみれになったのであまり感動はなかった 味は最高