夢。

 

日本のどこかのスラム街、分厚い雲、いくつかの切れかけた電球。

例えるならば、岩井俊二監督の『スワロウテイル』のような場所。

 

目の前に、殴りたい人間がいる。

現実では会ったことのない、知らない人間。

 

殴りたいのに殴れない。

グーを素早く伸ばそうとすると、低反発のクッションにゆっくりと手を鎮めるときのような感じになってしまう。

 

殴りたい、殴れない。

 

起きると大量の汗。

 

いま思い返すと、サンシャイン池崎に似ていたなと思う。

サンシャイン池崎だいすき。

 

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いまも交友のある数少ない幼馴染から連絡があった。

 

「いまどこ」

「吉祥寺、バス乗ったとこ」

「青春のギターを手放すので、写真を撮ってくれないか」

「いつ」

「いま」

「わかった」

 

私は帰ろうと乗っていたバスを降りた。

 

吉祥寺の、大好きな屋上へ彼を呼び出す。

16時50分、太陽は山に隠れ、洩れた橙が空の青を食べ始めている。

サイズの合わないハードケースから黒のリッケンバッカーを取り出した彼は、泣いていた。

 

フェンスのそば、この屋上の中で、一番夕焼けに近いところ。

彼をそこに立たせ、好きに弾いて歌って、とだけ伝えた。

小さく泣きながらこのギターで作った曲を歌う彼、残り少ないフィルムの入ったカメラでたいせつにシャッターを切る私。

 

懐かしい歌声、コードを押さえる手が震えていた。

とても良い歌だった。

ピントを微妙に外した気がする。

それでいいな、それがいいなと思った。

 

こういう依頼がもっと増えたらいい。

依頼者が直面している、切実さが滲み出るものことを撮りたい。

 

あのときのフィルムを、私はまだ現像できずにいる。

 

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自転車に頻繁に乗るようになってから、乗らない日がとても貴重に思えるようになった。

 

丈の長いコートを着て自転車に乗ると、タイヤに裾を擦ってしまうから、泥除けを付けようかと思ったこともあった。

けれど、この小さな貴重さがとても愛おしいことが分かったので、やっぱり泥除けはやめることに決めた。

 

今日は乗らない日。
お気に入りの茶色いコートを着て信号を待つ。

 

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カメラのシャッターボタンに、ポムポムプリンのぷっくりシールを貼った。

撮るたび忘れていたシールの存在を思い出して、ひとりで笑ってしまう。

 

どんなに緊張する現場でも、ポムが穏やかな気持ちにさせてくれる。

なんて最高なことなんだろう。 

 

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昨晩のクリームシチューの残り シチューも一晩経つとさらにおいしい けどお肉がほぼ残っていなくて寂しかった

天津飯とエビチリと豆苗炒め、あと少しのお酒 友人と吉祥寺の300円中華へ 最近はだいたいここ  安くておいしいというのは幸福度が高い 申し訳程度のお通しがかわいい

 

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